バングラデシュ襲撃テロと氏名公表をめぐる経緯
バングラデシュ・ダッカの襲撃テロで、政府は当初、犠牲となった日本人7人の名前の公表を見送り、報道機関が先行して報じることになった。海外で亡くなった人の名前の公表のあり方はどうあるべきか。専門家らは「再発防止のためにも、被害者が誰かを速やかに公表することが不可欠だ」と指摘する。
事件から丸一日が過ぎた2日深夜。首相官邸で開かれた記者会見で菅義偉官房長官は、日本人7人の死亡を明らかにする一方、「家族の了解をいただいていないのでコメントは控えさせていただきます」と述べ、氏名の公表を見送った。
国際協力機構(JICA)や現地に派遣したコンサルタント会社の口も重く、JICAの北岡伸一理事長は官房長官会見に先立つ2日夜、「政府が言うなということは言えない」と記者会見で述べた。
こうしたなか、各報道機関は発生時から独自取材を進めた。ある遺族は2日夜、朝日新聞の取材に犠牲者への思いを語り、フェイスブックに掲載された写真の確認に応じた。3日までに主要紙はすべて、独自取材で7人全員の名前を報道。一方、ネットには「実名報道が社会的にどんなメリットがあるのか理解できない」などとする意見が登場した。
最終的に政府が氏名を公表した…