三重選挙区(改選数1)では、民進現職の芝博一氏(66)が自民新顔の山本佐知子氏(48)らを破って3選を果たした。安倍晋三首相ら政権幹部が相次いで三重入りして攻勢を強めたのに対し、民進の岡田克也代表は代表の座をかけて支援し、「おひざ元」の参院議席を維持した。野党共闘も功を奏した。
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当選した芝氏は「国民の暮らしを守る、平和を守るということを訴え、受け止めていただいた。大きく輪が広がった市民の皆さんとの勝利だ」と話した。岡田代表の進退を託されたことについては「大きな責任を自覚して頑張り、それは(戦いの)エネルギーになった」と振り返った。
岡田氏主導で、共産、社民と共闘したものの、民進側は当初、支援組織である連合三重や保守層の支持者に配慮し、野党共闘に消極的だった。共闘成立は全国32の1人区で2番目に遅かった。その後、芝氏は「安倍政権の暴走を止めるため、グループや党を超えて戦っている」と演説で強調するようになり、非自民層や無党派層へのアピールを強めた。
岡田氏は選挙期間中5回、三重に入り、「芝さんが落ちるなら、次の代表選に出ない」と宣言して背水の陣を敷いた。江田憲司代表代行、枝野幸男幹事長、山尾志桜里政調会長、前原誠司元外相らも公示後に次々と応援に駆けつけた。
自民は、1990年に当時自民の岡田氏に地盤を譲って引退した故・山本幸雄(さちお)元自治相の孫である山本氏を擁立。野党第1党党首の地元議席奪取をめざし、首相が6月に2回三重に入ったほか、谷垣禎一幹事長、麻生太郎財務相、石破茂地方創生相、小泉進次郎党農林部会長ら有力議員が続々と応援に入った。過去の国政選挙で中立を保ってきた鈴木英敬知事も、山本氏支援に奔走した。
山本氏は「伊勢志摩サミットの恩恵を最大限生かす。日常生活の中で『景気がよくなったな』と実感してもらえるように全力を尽くす。自公政権で安定した日本をつくっていく」と訴えたが、知名度不足が響き、及ばなかった。