堺市立小学校の特別支援学級で2013年、当時30代の女性講師が6年生の男児から執拗(しつよう)な暴行を受け、顔面打撲などのけがや後遺障害を負ったとして、市と保護者を相手取り、慰謝料など計1308万円の損害賠償を求める訴えを大阪地裁堺支部に起こした。第1回口頭弁論が21日に開かれ、市と保護者は請求棄却を求めた。
訴状によると、女性は産休の代替として13年9月に着任。その直後、教室で男児を注意したところ、顔や頭を数回殴られ、制止するとさらに後ろから数十回殴られ、腰などを十数回蹴られた。職員室でけがの応急処置をして教室に戻ると、今度はナイフを持った男児に突進され、ハサミを投げつけられたという。女性は同校に14年3月末まで勤務した。
女性は着任前、学校側から男児は注意欠陥・多動性障害があると説明を受けた。しかし、パニックになると暴力をふるう傾向が強いことなどは知らされておらず、危険を避ける適切な行動が取れなかったと主張。学校側の安全配慮義務と保護者の監督義務に違反していると訴えた。また、顔などのけがは公務災害が認定されたが、不眠などの後遺障害に対する慰謝料や休業損害は市と保護者が連帯して賠償する責任があるとしている。
これに対し、保護者は「(女性から)あおられて手を出したが過剰な暴行はしていない。女性の配慮に欠けた言動が招いた」と反論。堺市教育委員会は「弁護士と相談し、適切に対応したいと考える」とコメントした。