モスクワの検査所で陽性反応が隠蔽されたロシア選手の競技・種目別検体数
リオデジャネイロ五輪の開会式まであと11日、「潔白」のロシア選手の見極めは可能なのか――。ロシアの国家ぐるみでのドーピング隠蔽(いんぺい)問題で、国際オリンピック委員会(IOC)は各競技の国際連盟に判断を委ねる形で、ロシア選手団が参加できる道を残した。ロシア五輪委員会の関与も否定し、厳罰を回避した判断は「弱腰」「臆病」との批判もある。スポーツ大国への配慮はあったのか。
特集:ロシアのドーピング問題
リオオリンピック2016
IOCの決定について、欧米を中心に批判の声が高まった。一連のドーピングスキャンダルの口火を切ったドイツ公共放送ARDのゼッペルト記者は「ロシアのような国は大問題があっても処分は免れるというメッセージを与えた」。世界反ドーピング機関(WADA)のニグリ事務総長は「IOCの手法は潔白な選手を守ることを弱めることになる」と手厳しい。
一方、連帯責任での不参加も覚悟していたロシアでは一転、歓迎ムードだ。
「バッハ(IOC会長)が『行こう』と言った」とモスコフスキー・コムソモーレツ紙の見出しが躍る。387選手が参加を予定していたロシア選手団のうち、陸上67選手は参加がかなわない。残る320選手が、今後の焦点となる。
ムトコ・スポーツ相は少なくとも「8割の選手はIOCの基準を満たす」という考えを示し、ロシア五輪委員会のジューコフ会長は参加できなくなる選手が「8人以上」と少数にとどまる見通しを明かした。
出場の可否の判断を下すのは、…