東京女子医科大病院(東京都新宿区)で2014年、脳腫瘍(しゅよう)の女性が添付文書に記載された量を大幅に上回る抗てんかん薬を投与され、副作用で死亡していたことが遺族への取材でわかった。
亡くなったのは川崎市の長浜裕美さん(当時43)。代理人の安東宏三弁護士によると、長浜さんは14年7月、脳腫瘍が再発した疑いがあると診断された。翌月にけいれん発作を起こしたため、これまでの抗てんかん薬に加え、別の抗てんかん薬ラミクタールを1日200ミリグラム処方された。重い皮膚障害の「中毒性表皮壊死(えし)症」の症状が出て、追加投与は約2週間で中止されたが、死亡した。
ラミクタールの添付文書では、別の薬と併用する際の投与量は最初の2週間が1日おきに25ミリグラムと記載。用法・用量を超えた投与は皮膚障害の危険が高まるとしている。
病院の依頼で調査した「日本医療安全調査機構」の報告書では、「最良の選択肢とは言い難い。選択するのであれば、リスクなどについて本人と家族に十分に説明し同意を得ることが望ましい」と指摘している。また、薬剤師から処方量の確認があったが、変更されなかったという。
夫の明雄さん(41)は「副作用の説明は受けていない」と主張。病院側からは「副作用は事前に説明した。死亡したのは体質の問題が大きい」との見解を伝えられたという。
東京女子医大広報室は「双方の弁護士間で折衝中であり、コメントを控えさせていただく」としている。