トランプ米大統領が8日、中国の習近平(シーチンピン)国家主席に書簡を送った。「両国にとって利益となる建設的な関係」の構築を呼びかけたという。大統領に就任してから初めて公式に前向きなメッセージを送った形だが、貿易や台湾、南シナ海問題をめぐる対立は根深く、道のりは険しそうだ。
ホワイトハウスのスパイサー報道官によると、習氏から大統領就任を祝う書簡が送られたことに対する返礼だという。中国の春節(旧正月)から15日目にあたる「元宵節(げんしょうせつ)」を祝うメッセージとともに送られた。
トランプ氏は当選直後の昨年11月、習氏と電話会談した。だがその後、トランプ氏は、中国が米側に順守するよう求めている中国と台湾がともに中国に属するという「一つの中国」政策に疑問を示した。中国の貿易や外交政策の改善を迫るための「取引材料」にする考えも示唆した。中国による南シナ海での人工島の建設についても批判を展開し、トランプ氏就任後の両首脳の電話会談も実現していない。
水面下では関係改善に向けた動きもある。米中関係筋によると、昨年末ごろから党幹部を養成する中央党校など複数の研究機関の研究員が訪米し、トランプ政権との関係づくりを模索。崔天凱・駐米大使が、トランプ氏の娘婿で大統領上級顧問のジャレッド・クシュナー氏とのパイプをつくったという。双方は定期的に接触し、両首脳の意向を互いに伝達し、関係修復を進めてきたとされる。
実際、トランプ氏は就任後、それまでよりも対中批判の頻度が減るようになった。「就任初日に中国を為替操作国に認定するよう指示する」としていた公約も先送りした。
今月1日にワシントンの中国大使館で開かれた春節レセプションには、クシュナー氏の妻、イバンカさんが娘のアラベラちゃんを連れて参加した。「両国の関係改善のシグナル」(米中関係筋)との見方もある。
だが、トランプ氏は選挙中、対…