トルコの首都アンカラで19日午後7時ごろ、トルコに駐在するロシアのアンドレイ・カルロフ大使が男に銃で撃たれた。大使は複数箇所を銃撃されており、病院に搬送されたが、ロシア外務省が同日夜、死亡したと発表した。
トルコのテレビ局がネットで公開した銃撃場面によると、男は銃撃後、アラビア語で「アラー・アクバル(神は偉大なり)」と叫び、トルコ語で「シリアが安全にならない限り、あなたたちも安全にならない。アレッポを、シリアを忘れるな」と叫んだ。
トルコメディアによると、カルロフ大使はアンカラ中心部のチャーダシュ文化センターで写真展の開幕式でスピーチをしていたさなかに男に撃たれた。大使が銃撃された後、現場では男と警官隊の間で銃撃戦が続き、男は射殺された。この銃撃戦で、他にも3人が軽傷を負ったという。
男は警察官の身分証明書とみられるものを付けて建物内に入り、大使に近づいた模様だ。銃撃が起きた際、開幕式の会場には約100人以上の来客がおり、パニックになって出口へ殺到したという。
男の身元は不明だが、ロイター通信は治安関係者の話として、非番中の警察官だったと伝えている。
男が銃撃後に言及したアレッポは、シリア北部の要衝。同市東部は内戦勃発以来の反体制派の要衝だったが、アサド政権軍が先月中旬から猛攻をかけ、今月15日にアサド大統領が完全制圧を宣言したばかりだった。ロシアはアサド政権の後ろ盾として、政権軍を軍事支援していた。(イスタンブール=春日芳晃)