原子力規制委員会は27日の定例会で、関西電力大飯原発(福井県)で想定される地震の揺れについて、見直さないことを決めた。想定が「過小評価だ」と主張した前委員長代理の島崎邦彦・東京大名誉教授が求めた別の手法について改めて検討し、「規制において推奨すべきアプローチと位置づけるまでの科学的・技術的な熟度には至っていない」と判断した。
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大飯原発の揺れ想定「見直し不要」 規制委が再計算結果
島崎氏は6月、大飯原発で想定される地震の揺れについて、熊本地震での観測結果などをもとに、「関電の計算手法では、過小評価になる可能性がある」と指摘。田中俊一委員長が面談し、別手法で再計算することを決めた。
規制委は今月、すでに了承した揺れを下回る結果になったとの再計算結果を公表したが、島崎氏は反発。規制委は揺れの想定を見直すかどうかの評価を保留し、改めて検討していた。
規制委はこの日、いったん報告した再計算の結果について、島崎氏が求めた手法に置き換えて計算すると地盤が割れる面積が断層より大きくなり、地震の揺れは逆に小さくなるなど、「矛盾が生じる非現実的なモデルになった」との評価を公表。「再計算の結果をもって、大飯原発の揺れの妥当性を議論することは適切ではない」として、別の手法を使った計算には問題点が多かったと結論づけた。
田中委員長は「熊本地震でも、次々と新しい観測記録が出てきている。都合のいいデータだけ先取りした指摘を素直に受け入れることはできない」と語った。