政府は2日、「未来への投資を実現する」と銘打った事業規模28・1兆円の経済対策を閣議決定した。内閣府はこの対策により、今年度と来年度の実質国内総生産(GDP)が1・3%分押し上げられると試算している。
対策では政権が掲げる「1億総活躍社会」に向け、保育士や介護職員の給与を引き上げ、返済がいらない給付型奨学金を創設。低所得者約2200万人に1人あたり1万5千円を配る給付も行い、関連の事業規模は3・5兆円とした。
インフラ整備の規模は10・7兆円で、リニア中央新幹線の全線開業を最大8年前倒しする。このほか、英国の欧州連合(EU)離脱の影響を受ける中小企業の支援が10・9兆円、熊本地震などの復興・防災強化が3兆円とした。
対策の費用をまかなう国・地方の「財政措置」は13・5兆円としているが、実際の支出は7・5兆円で、残る6兆円は国の信用で低金利の資金を集めて民間に貸し付ける「財政投融資」だ。政府は支出のうち4兆円を今年度第2次補正予算案に計上し、秋の臨時国会で成立をめざす。4兆円のうち約3兆円は建設国債の発行でまかなうなど、借金頼みの対策といえる。(鯨岡仁)