三菱自動車の燃費不正問題で、2005年に同社の新人の社員が不正行為をやめるよう社内で提言したのに、幹部が放置していたことが分かった。燃費不正を調べていた特別調査委員会が2日公表の報告書で明らかにした。調査委は、不正に鈍感な体質を示す事例として問題視している。
三菱自、特別調査委の報告書公表 会社全体の問題と指摘
調査委は燃費不正を客観的に調べるため三菱自が4月25日に設置、弁護士ら4人で構成する。報告書によると、新人社員は社内の発表会で、国のルールと異なる方法で燃費データを測っており、改めるべきだと提言した。不正行為を続けていた部門の幹部ら20人余りが聞いていたという。
幹部らは調査委に対し、記憶にないと答えた。しかし、当時の資料も入手した調査委は、「新人社員の指摘というインパクトを考えても、記憶がないという説明は容易に受け入れがたい」と結論づけた。
11年の社内アンケートでデータ偽装を示唆する複数の回答が寄せられたが、開発部門の「問題なし」という報告を経営陣がうのみにしたことも指摘した。
三菱自の益子修会長兼社長は2日の記者会見で、新人社員の提言と社内アンケートについて会社側の調査では把握していなかったと説明、「非常に重く受け止めている」と陳謝した。改めて詳細に調べるという。(木村和規)