18歳選挙権の特集紙面を掲げる、高岡南高校の塚原大雅さん(右)=広島市東区の広島女学院大学
18歳が一票を投じた、初めての夏。広島県で開かれている第40回全国高校総合文化祭「ひろしま総文」に参加する新聞部員たちも、それぞれの紙面で「18歳選挙権」を報じてきた。高校生が投票した初の選挙を経て、部員たちは何を考え、どう紙面作りをしていくのか。
特集:2016ひろしま総文
大半の学校が代替わりを終えており、部活動の中心を担う2年生に聞いた。
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参院選後の7月22日の新聞で18歳選挙権の特集を組んだ高岡南高校(富山)の新聞部。実際に投票した3年生たちにインタビューした企画「投票経験者は語る」には、素朴な感想が並ぶ。
「投票用紙が機械から出てきたことに驚いた」「投票所の中が緊張した雰囲気だったのでこれが選挙なんだと思った」
後輩へのアドバイスも。
「少しでもいいから候補者の政策や考えを知っておくと選挙が面白くなる」
取材にあたった部長の塚原大雅(たいが)さん(17)は「軽い気持ちで1票を捨てることは、自分にとっても、社会全体にとってもマイナスになると感じた」と振り返る。「今回は国の選挙だったけど、今後は県や市の行政といった、身近なテーマを掘り下げてみたい」と話す。
各校とも、若者の投票率をもっと上げられないか、という思いは共通する。
越谷北高校(埼玉)の新聞部部長、笠井祐花(ゆうか)さん(16)が選挙後に書いた論説の見出しは「主権者教育がさらに必要だ」。参院選の19歳の投票率は39・66%と、18歳の投票率51・17%に比べて10ポイント以上低く、学校で受ける主権者教育の大切さを感じたからだ。
学校にも注文がある。「去年の方が、選挙の話を先生から聞く機会が多かった気がする。選挙について学ぶ機会は、もっと増やしてほしい」
福島県立福島高校の新聞部は、10月号で18歳選挙権の特集を予定している。
参院選前に実施したアンケートでは「分からないから投票に行かない」「自信がない」といった消極的な声もあった。樅山(もみやま)瑞歩(みずほ)さん(17)は「分からないから行かない、行かないから分からないという悪循環がある気がする。どうしたらいいんだろう」と思案する。「周りの大人にも選挙への意識を聞いてみたい」。(松本紗知)