安倍政権が掲げる「介護離職ゼロ」の実現に向けて、政府は特別養護老人ホームが不足している都市部で設置要件を緩和した。対象は自治体が「今後人口増加が見込まれ、特養の土地取得が困難」と判断した地域。これまでは社会福祉法人か国や自治体が持つ土地や建物に限られていたが、一定の条件を満たせば民間から借りた不動産にも設置できるようになる。
介護とわたしたち
昨年11月にまとめた1億総活躍社会実現への「緊急対策」を受けた対応で、厚生労働省が7月27日付で各自治体に通知した。特養の運営を安定的・継続的に行うという理由で禁じていた民間用地にも特養の設置を解禁する。施設を増やして入所の待機者を減らし、親ら家族の介護を理由にした退職を減らす狙いだ。
2014年3月の厚労省の集計によると、特養の待機者は全国で約52万人。東京都が最多の約4万3千人で都市部に集中している。(水戸部六美)