相模原市の障害者施設で起きた殺傷事件を受けて、自民・民進の両党は2日、それぞれ再発防止に向けた検討を始めた。政府内で始まった議論と同様に措置入院のあり方が焦点だが、会合に出席した障害者団体からは、障害者を排除する社会へ逆戻りしないよう求める意見が相次いだ。
差別や偏見に苦しんだ、それでも 相模原殺傷、匿名葛藤
特集:相模原の殺傷事件
自民党は「退院後のフォローアップ体制」の強化を議論する方針で、措置入院が解除された後も通院を義務づける仕組みづくりを検討する。党内には「犯罪をほのめかした人物にGPS(全地球測位システム)を埋め込むようなことを議論すべきだ」(山東昭子元参院副議長)という人権に関わりかねない意見もある。だが、出席者からは「措置入院を厳しくすると、精神疾患の方を社会全体で受け入れるという流れに逆行する」との慎重意見も出た。
民進党は障害者やその家族らの団体から意見を聞いた。「精神医療は治安維持のためではない」「地域で暮らすのが本来の姿」といった意見が相次ぎ、障害者インターナショナル日本会議の尾上浩二副議長は「殺されていい命はない。優生思想を許す雰囲気に目を向けることこそ本当の再発防止策だ」と強調した。(久永隆一)