インタビューに応じるCNNインターナショナルのエレ―ナ・リー編集総責任者=8日、東京都港区
世界最大級の国際ニュース専門テレビ局「CNNインターナショナル」がこの夏、日本の特集番組を増やす。天皇陛下の生前退位や経済政策「アベノミクス」の行方など海外でも関心を集めるテーマが増えているためだ。来日したエレーナ・リー上級副社長兼編集総責任者に話を聞いた。
「日本に世界が再び注目」 CNN・リー氏
リー氏は、天皇陛下のビデオメッセージが公開された8日に朝日新聞の取材に応じた。同社の英文サイトでは、リオデジャネイロ五輪関連に次いで大きな扱いだった。「天皇陛下は海外でも尊敬されている。平和を重んじてきたためで、特に東アジアで関心が高い」という。
リー氏は「アベノミクスへの関心が、経済規模で中国に抜かれた日本を世界の舞台の中央に戻した」と説明する。現状については「大きな船の向きを変えるには時間がかかる。成否を論じるには時期尚早だ」と指摘。「先進国は日本をテストケースとして、何がうまくいき、何がうまくいかないかに注目している」とした。
安倍晋三首相が意欲を示す憲法改正については「(一部の国で)戦争の傷痕はいえていない」とした上で、「平和憲法は日本だけでなく、ほかの国々にとっても影響があるので積極的に報じていく」とした。閣僚の靖国神社参拝についても「海外で関心が高く、今後も報道していく」とした。
海外では、日本の移民政策への関心も高まっているという。「高齢者の介護や東京五輪の準備のための人材などが不足すれば、日本でも計画的な移民の受け入れが選択肢になる」と指摘。「日本の移民に対する考え方はアジア諸国と通じるものがある。日本の対応から、他の国は何をすべきかを学べる」と述べた。(藤崎麻里、上栗崇)
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〈エレーナ・リーCNNインターナショナル上級副社長兼編集総責任者〉 米ジョージタウン大卒、ニューヨーク大大学院修了。CNNニューヨーク支局で経済番組「イン・ザ・マネー」を立ち上げ、その後もCNNでアジア発のニュース配信などに取り組んできた。現在は、CNNインターナショナルで米国以外の地域を総括する。