マツダの生産ライン。自動車産業の輸出採算は円高の影響を受ける=4月、広島市内、榊原謙撮影
2016年4~6月期の実質国内総生産(GDP)の伸び率は前期比0・048%(年率0・2%)でほぼ横ばいだった。安倍政権は参院選後に経済対策を打ち出し、日本銀行も追加の金融緩和を行った。エコノミストの間ではこうした政策の波及効果への期待がある一方、将来への不安から家計の消費や企業の投資が伸び悩むとの見方も出ている。
GDP実質成長率、年率0.2%増 2四半期連続プラス
4~6月期のGDPは、政府の財政出動で公共投資が拡大し、日本銀行の金融緩和による金利低下などで住宅投資も増えた。だが、GDPの6割を占める個人消費は前期比0・2%増にとどまった。
内閣府は消費が力強さを欠く背景について、若年層での非正社員比率の高さや将来不安などが考えられるという。今後の賃金増がなかなか見込めず、年金など社会保障への不安もあり、消費を手控えている、というわけだ。
先行きへの不安感は企業も同様だ。設備投資は前期比0・4%減だった。石原伸晃経済再生相は15日の会見で「先行きに対して企業の慎重な見方が増えている」と述べた。少子高齢化で内需の拡大は見込みづらい。足もとでは円高も進んでおり、輸出企業の採算は悪化傾向だ。企業が国内で新たな設備投資を行う意欲が出にくい状況だ。
輸出は前期比1・5%減。円高…