ロシア極東のサハリンで、鉄道の線路幅を広げる工事が進んでいる。樺太と呼ばれた日本統治時代に建設されて以来、旧国鉄やJRの在来線と同じ線路幅だったが、より広いロシア規格に変更するためだ。サハリンの鉄道の「日本統治期」が、静かに幕を閉じようとしている。
7月中旬、サハリン南西部の海岸沿いで線路の工事が続いていた。新しく敷かれた2本のレールの幅は、これまでと同じ1067ミリ。だが、外側にロシア規格の1520ミリ幅にレールを置けるスペースがある。
工事責任者のエフゲニー・クドリャショフさん(39)は「3カ月間運行を停止し、一気にレールを外側に移す」と説明する。
工事は2003年に始まった。806キロの営業路線のうち、橋やトンネルも含めて7割以上がすでに終了。20年の完成を目指す。
日本がサハリン南部(南樺太)で鉄道建設を始めたのは20世紀初め。日露戦争後に日本領となり、国鉄と同じ線路幅で整備した。第2次大戦後、ソ連はサハリン全域を支配したが、線路や機関車など日本の鉄道設備はそのまま使った。
ソ連はその後も線路幅を変えず…