自衛隊のヘリコプターで、孤立集落から避難してきた人たち=4日午前8時46分、岩手県岩泉町の岩泉中学校、林敏行撮影
台風10号による豪雨被害で13人が死亡した岩手県岩泉町は4日午前9時、町内全域の4587世帯9947人を対象に「避難指示」を出した。台風12号の接近に伴い、土砂災害の危険度が高まっているため、町内の各地区にある避難所に避難するよう求めている。
岩手・岩泉、町内全域に避難指示 台風12号接近に伴い
岩泉町では台風10号による豪雨で道路が寸断され、4日午前7時現在で、安家、岩泉など5地区の252世帯547人が孤立している。このため、自衛隊などのヘリコプターが町職員とともに孤立地区に入り、町の中心部へ移送する作業を進めている。
8月30日に上陸した台風10号の豪雨災害では、同町は町内全域に「避難準備情報」を出していたが、入所者9人が犠牲になった高齢者グループホーム「楽(ら)ん楽(ら)ん」がある地区には、より強い「避難勧告」や「避難指示」を出していなかった。伊達勝身町長は4日の記者会見で「今回の経験から得た教訓は、予測はできないことがある(ということ)。(避難指示が)空振りに終わってもいい」と話した。
岩手県災害対策本部によると、4日午前6時現在、岩泉町のほかにも久慈市の198人が孤立状態にある。久慈市では徒歩での移動もあわせて、4日中に全員が避難を終える予定だという。岩泉町の孤立地区の住民については、5日もヘリによる移送を続けて全員を安全な場所に避難させる方針だ。(山下剛、角津栄一)