視察する小泉進次郎衆院議員(左)と全農の中野吉実会長(右から2人目)=7月、佐賀市
JAグループが、自らが販売する肥料など農業資材の価格引き下げに力を入れ始めた。自民党の小泉進次郎農林部会長が、秋の農業改革案とりまとめを前にJAが扱う資材の高さを批判。農林水産省も足並みをそろえてできつつある「JA包囲網」をかわす狙いだ。
従来より3~4割安い価格を実現しました――。JAグループ内で、各地の農協などへの資材販売を手がける全国農業協同組合連合会(全農)は先月、こんな発表をした。韓国産肥料のうち、品質面に問題があるなどとして避けてきた安価品の輸入に初めて踏み切り、港から地域の農協を通さず直接農家に運ぶことで価格を引き下げたという。
ただ、約1900の農業を営む法人などでつくる日本農業法人協会が7月に韓国を訪問して実施した資材価格の調査では、韓国の肥料は日本の半額、農薬は日本の3割ほどの価格だった。単純比較すれば、JAグループの価格はまだ高い。JAグループをまとめる全国農業協同組合中央会(全中)の奥野長衛会長は先月19日、法人協会の会長と初めて会談し、「どういう形で韓国並みに肥料価格を下げていくか話し合い、取り組んでいく」と話した。
全農は、農薬、段ボールなどの価格を引き下げる取り組みについて、ホームページでの紹介を開始。JAグループは、資材価格の引き下げへ向けた新たな取り組みを8日に発表する。
JAグループが矢継ぎ早に価格引き下げへの積極姿勢を打ち出すのは、農家の成長力向上を目指して議論を進める自民党の「農林水産業骨太方針策定プロジェクトチーム(PT)」がこの秋、改革案を取りまとめるからだ。資材価格の見直しが焦点で、小泉氏は、国内の農家が使う肥料の7割、農薬の6割、農機の5割を取り扱うJAグループのなかでも、特に全農の組織構造に問題があると指摘。「全農改革が本丸」と強調している。
農水省も先月24日に決まった…