会見で話す豊洲市場の専門家会議の平田健正座長。左は小島敏郎・青山学院大教授=17日午前10時49分、東京都新宿区、竹花徹朗撮影
「昨年ごろ知った」「問題ないと思った」――。盛り土がされていなかった東京都の豊洲市場(江東区)をめぐり、前副知事が証言した。都庁内のずさんな情報共有は地下空間が設けられた問題検証の焦点で、都のプロジェクトチームが経緯を調べる。専門家会議も小池百合子知事の依頼を受けて再開され、安全性を再検証する。
前副知事、地下空間「昨年ごろ初めて知った」 豊洲市場
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「両方の思い込みがそのままにきて、今回のような事態になっている」。市場問題プロジェクトチーム座長の小島敏郎・青山学院大教授は17日の記者会見でそう話した。「盛り土をしている」と考えてきた職員と「地下に施設を造った」と把握していた職員――。小島氏は、双方の連携不足が深刻な事態を招いた一因とみている。
「技術屋(技術担当の職員)はみんな知っていたはず。ただ、それ以外は地下の空間まで気にしない」。市場移転を担当してきた都幹部の一人も、部署間に情報共有の壁があったことを認める。建物設計の担当者の間で、どこまで「盛り土」の必要性が共有されていたのか。都が進める検証の焦点になっている。
外部への情報発信も正誤が入り交じっていた。都のウェブサイトなどで「盛り土をした」と説明し続けたが、別のページには地下に施設を設けたことが分かる資料なども載っていた。
「広報担当の事務職員は、設計が途中で変わるとは思わない。心底、『盛り土がある』と思って情報発信をしていた」。元都幹部の一人は、都庁内の雰囲気をそう振り返る。結果として、都庁中枢すら、大型プロジェクトの根幹に関わる内容変更を数年も知らない事態が続いてきた。
「恥ずかしながら全く知らなかった。盛り土をしているもんだと思ってた。(資料を)見て気づければ良かったけど、なかなか難しい」。市場を管理する都中央卸売市場長の経験者も、そう語る。
「行政の手順がしっかり行われ…