志賀島の国宝金印
博多湾の入り口にある志賀島(福岡市東区)で出土した弥生時代の国宝金印をユネスコの「世界の記憶(記憶遺産)」にしようと、地元福岡の歴史愛好家らが運動を進めている。古代日中交流を象徴する重要遺物の金印を、もっと世界に知ってもらいたいという。
活動しているのはNPO法人志賀島歴史研究会。金印には「漢委奴国王」の5文字が彫られ、紀元57年に中国後漢王朝から当時福岡平野にあった奴国の王に贈られたとされる。
研究会の岡本顕実さん(72)は「金印を世界のステージにあげて広く知ってもらいたい」と話す。福岡市に支援を直談判するなど連携を呼びかけており、9日には福岡市東区でシンポジウムも開く。シンポには弥生文化に詳しい海の道むなかた館長の西谷正・九州大名誉教授も参加し、「かつての国際交流を示す記録資料の例として登録に値する」と応援する。
「世界の記憶」は世界的に重要な文書や映像などを登録するユネスコの事業。日本からは筑豊の炭鉱絵画など5件がある。登録をめざす動きは全国で激しく競争は厳しさを増すが、研究会はシンポをきっかけに運動に弾みをつけたいと意気込んでいる。(編集委員・中村俊介)