医療法人「徳洲会グループ」の関連会社の資金計3千万円を着服したとして、業務上横領罪に問われたグループ元事務総長の能宗(のうそう)克行被告(60)に対し、東京地裁は12日、懲役3年執行猶予4年(求刑懲役3年)の判決を言い渡した。
稗田雅洋裁判長は「徳洲会グループの政治活動資金の支出に権限を与えられた立場を利用した、悪質な犯行だ」と非難。一方で「グループの政治資金の支出のあり方の問題が事件の背景にあり、被告のみに責任を負わせることは酷だ」と述べ、執行猶予を付けた。
判決によると、能宗被告は2007~08年に関連会社の口座から計3千万円を引き出して着服した。
弁護側は、「『徳洲会の金庫番』といわれた被告が個人的に立て替えた分を清算しただけで、横領ではない」と無罪を主張。だが判決は「立て替え払いについて一切の記録が残されておらず、供述は信用できない」として退けた。
判決はまた、横領に至った背景にも言及。病院建設の工事代金の一部を建設会社からキックバックするなどの形で、グループが政治活動資金を確保していたと認めた。その上で「対外的に説明が困難な資金の支出の責任を被告に負わせてきた体制、体質が犯行を誘発した側面も否定できない」と指摘した。