伊方原発の事故を想定した避難訓練で、漁港からフェリーに乗り込む中学生ら=11日午前9時30分、愛媛県伊方町の三机港、上田幸一撮影
愛媛県伊方町の佐田岬半島の付け根付近にある四国電力伊方原発で、過酷事故を想定した県の原子力防災訓練が11日、国や他県も参加して実施された。8月の3号機の再稼働後、こうした大規模訓練は初めて。再稼働前の昨年11月以来、半島の住民が実際に海路で避難する訓練も1年ぶりに実施された。今回は避難ルートを増やし、使う港も船も倍増させたが、参加者は全体の約3%に限られた。
特集:伊方原発
訓練は、巨大地震で運転中の伊方3号機の原子炉が停止し外部電源が喪失、非常用の炉心冷却装置も動かず放射性物質が放出されたと想定。内閣府など国の関係機関、避難先の大分県、一部が原発から30キロ圏に入る山口県などを含み、総勢約2万3千人が参加した。
東西に細長い佐田岬半島の原発から西側は、全国で唯一「予防避難エリア」に位置づけられ、即時避難する5キロ圏の予防的防護措置準備区域(PAZ)と同じ対応をとる。エリアには約4700人が暮らすが、訓練の参加者は約150人のみで、住民からは実効性を疑問視する声もあがった。
昨年11月の国の訓練では、住民を船に乗せて大分県まで行く訓練をした。今回は大分側の港が受け入れられないケースも想定し、愛媛県内の港へ避難する訓練も初めて加えた。午前9時半ごろから、小中学生や福祉施設入所者ら約110人が伊方町の三机(みつくえ)港から民間のフェリーと県の漁業取締船に乗り、北東へ約50キロ離れた伊予港(同県伊予市)に向かうなどした。(宮田裕介)