オリーブの栽培地域
地中海沿岸原産で、国内では香川県・小豆島など温暖な地域で盛んなオリーブの栽培が、関東一円に広がっている。あまり手間がかからず、オイルを搾る実だけでなく葉や苗木も商品になるとあって、神奈川や静岡の沿岸地域だけでなく、群馬や埼玉など内陸部の農家や企業が続々参入。農家の収益向上や耕作放棄地の活用につながるとみて、国も後押しを始めた。
■育てやすく、企業の参入も
相模湾沿いのなだらかな丘陵に、ひざ上ほどの苗木から2メートル近くの若木まで約300本のオリーブが立ち並ぶ。神奈川県二宮町で代々続くミカン農家、松木秀雄さん(67)が4年前に植えた。
コンピューター関連会社のバイヤーとして世界を飛び回った。体を壊し、59歳で家業の手伝いを始めた。「将来性のある作物を育てたい」。健康志向の高まりからオイル需要が膨らむオリーブに目をつけた。剪定(せんてい)のやり方がミカンに似ていることも決め手になった。
小豆島から苗木を取り寄せ、今では外国産など約40種に。「植木を今の4倍に増やせたら商売になる。ビジネスとして成功させ、次の世代に引き継ぎたい」
群馬県太田市で切り花などを出荷する会社「アグリみらい21」は、耕作放棄地を活用する。11年前に試験的に36本を植え、今では約8ヘクタールの土地で約3400本を栽培するまでになった。
山田茂社長(66)は「花の生産だけでは先細りする。市場で良い値で取引されていたオリーブをおっかなびっくり植えてみたら意外に成長してくれた」。
オリーブは比較的育てやすく、…