男子フリーで演技する羽生結弦=白井伸洋撮影
(26日、フィギュアNHK杯 男子フリー)
フィギュア特集 Kiss and Cry
心のモヤモヤが晴れた。演技冒頭、羽生が4回転ループを決めた。「何とか、耐えられた」。満員の観衆がどっと沸いた。
前日のSPでは、ループの着氷でステップアウトして悔しさをにじませた。一方で、「ミスは最小限にとどめられた」と手応えも感じていた。
とはいえ、大技を完全にものにしたとは言い切れない。SPの後、ループについて問われるとこう答えた。「シュッてやって、パっと降ります。そんな感じ」「シュッ(の部分)が足りない」。普段なら、自分の言葉で理路整然と語る21歳が、珍しく感覚的な表現に終始した。
今季の公式戦の3戦で6度試みて、成功したのはこれで3度目。流れの中で跳び、高い加点をもらえる他のジャンプに比べると、ジャンプの流れがややぎこちない印象だ。
後半の4回転サルコーで転倒したが、今季初の総合300点超えで圧勝した。だが、シリーズ上位6人で争う2週間後のGPファイナル(仏・マルセイユ)では、世界王者のフェルナンデス(スペイン)、ソチ五輪銀メダルのチャン(カナダ)、伸び盛りの18歳・宇野(中京大)らとのハイレベルな争いが予想される。