NHKの次期会長に決まり、会見に臨む上田良一氏=6日午後7時46分、東京都渋谷区、北村玲奈撮影
NHK経営委員会(委員長・石原進JR九州相談役)は6日、次期会長に現経営委員で元三菱商事副社長の上田良一(うえだりょういち)氏(67)を任命すると決め、発表した。任期は3年。籾井勝人(もみいかつと)会長(73)は来年1月24日に任期満了で退任する。NHK会長の外部からの登用は4代連続で、執行部を監督する経営委員から会長に就任するのは異例。
NHK次期会長に上田良一氏選出 現経営委員就任は異例
上田氏は一橋大法学部を卒業後、三菱商事に入社。米国三菱商事社長や三菱商事副社長を経て、2013年6月にNHKの常勤の経営委員に就いた。同7月からは監査委員も兼務。15年に発覚した、籾井会長が私的なゴルフで使ったハイヤー代をNHKに一時立て替えさせていた問題では、自ら調査を担当した。今年6月に経営委員に再任され、引き続き監査委員も務めている。
経営委員会後の会見で石原委員長は上田氏の選出理由について「監査委員としてNHKの業務に精通しており、NHK内部からの人望も厚い。人格もふさわしい」と説明。「放送と通信との融合など、大きな課題が控えている。リーダーシップを発揮してほしい」と期待した。
その後会見に臨んだ上田氏は「経営委員から会長へと立場が変わっても、国民から信頼される公共放送の役割を果たしていきたいという強い思いだ」と抱負を述べた。会長就任により、経営委員と監査委員は退任する。
経営委は今年7月、会長指名部会を立ち上げて選定作業を開始。「政治的中立である」「人格高潔であり、説明力に優れ、広く国民から信頼を得られる」といった、5項目にわたる次期会長の資格要件を定めたほか、籾井会長の3年間の業績評価や、各委員から次期会長候補の推薦を募るなどの作業を進めていた。
石原委員長によると、6日の会長指名部会では、籾井会長の評価について全委員が意見を述べた後、委員が提出した推薦書に基づいて無記名で投票を実施。複数の候補者の中から、上田氏が選ばれたとしている。石原委員長は籾井会長について「懸案事項に積極的に取り組んで実績を出した一方、色んな誤解を招く発言があった。委員の中からも相当意見があった」と述べた。(後藤洋平、小峰健二)