東南アジア諸国連合(ASEAN)と日中韓など計16カ国が参加する東アジア地域包括的経済連携協定(RCEP)の交渉官会合が6日、ジャカルタ近郊で始まった。米国が主導してきた環太平洋経済連携協定(TPP)の発効がトランプ米次期大統領の離脱表明で宙に浮くなか、米国が不参加のRCEP交渉が加速するかどうかが注目される。
会合は10日までで、トランプ氏の勝利後初めて。米国抜きのRCEP交渉の加速に前向きとされるのが中国だ。参加国全体の国内総生産(GDP)に占める比率が約5割と最も大きく、アジア太平洋地域の自由貿易圏づくりで今後、主導権を握る可能性を秘める。
一方、TPPにも参加する日本やオーストラリア、ニュージーランドは最近の事務レベル交渉で「国有企業改革や知的財産の分野で、TPP並みの高い水準での合意を主張し始めた」(東南アジアの交渉担当者)。韓国も発言力を強めているという。
ただ、RCEPは参加国数がTPPの12カ国よりも多く、関税撤廃の水準をめぐる議論も続く。東南アジアの交渉担当者によると、年内だった合意目標は断念し、来年11月に先送りされた模様だ。(シンガポール=都留悦史)