大隅良典さんは11月に日本学術振興会を訪ねたときにも持参した=東京都千代田区
酵母を使ってオートファジー(自食作用)の仕組みを解明し、ノーベル医学生理学賞を受ける大隅良典・東京工業大栄誉教授(71)は、ストックホルム滞在中に面会した人へ贈るために日本酒を取り寄せた。8日午後(日本時間同日夜)の記者会見では「私は酵母からいろんなことを学んでいる。酵母の恵みであるお酒に親しんできた人生なので、一番いいギフトと思った」と語った。
特集:大隅良典・東京工業大栄誉教授
選んだのは出羽桜(でわざくら)酒造(山形県)の純米大吟醸「出羽桜 一路(いちろ)」(720ミリリットル)。2008年に開かれた国際的なワインコンテストの「Sake」部門で1位に選ばれた。こうじ菌の研究者を通じて同酒造の仲野益美社長(55)と知り合い、ノーベル賞受賞の記念品として国内用20本とストックホルム用30本を購入した。安倍晋三首相と官邸で面会した際にも持参した。
仲野さんは「『一路』は研究一筋の大隅先生にぴったり」と語る。「フルーティーな香りで味わいが深く、のどごしのきれがいいお酒」と説明する。
ラベルは、オートファジーの過程を描いたイラストと「Lessons from yeast(酵母からの教え)」の文字が入った特別なデザインだ。(ストックホルム=南宏美)