旧日本軍や米軍の遺品が見つかる村では、子どもが遊ぶ広場近くの軒先に弾薬帯がぶら下げられていた=9月、ソロモン諸島・ガダルカナル島、橋本弦撮影
ソロモン諸島の首都・ガダルカナル島ホニアラ市の郊外には、民間の「戦争博物館」が複数あった。旧日本軍と米軍が残した戦闘機や装甲車両、砲の残骸などが敷地に並べられている。
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島には、旧日本軍の将兵7千柱の遺骨も眠る。遺骨収集に協力を続ける村の民家の軒下には、鉄かぶとや手榴弾(しゅりゅうだん)、機関銃の部品などが積み上げられていた。
天理大学非常勤講師の藤井真一さん(35)は2009年から、文化人類学の視点で島の社会を観察している。「多くの島民は物心ついた頃から、戦争の遺物とともに暮らしてきた」。旧軍の鉄かぶとを植木鉢にしたり、戦闘機の部品を物干しや塀に使ったりした事例を、藤井さんは目にした。1998年から5年に及んだ民族紛争の際は、自警のため、海から拾ってきた戦時中の不発弾で武装した島民もいたとも聞いた。
ガダルカナル島では首都の市街を除くほとんどの土地が「慣習地」と呼ばれ、その住民が人口の約8割を占める。慣習地の管理権は住民が帰属意識を抱く氏族にあると解され、戦跡を訪れる外国人を含むよそ者が土地へ入る際は「入場料」が必要とされている。自給自足に近い暮らしをする人々には、これが現金収入源のひとつになってきた。