トランプ政権下で、性的少数者向けの医療助成の削減などを心配するジーナ・ラブさん=4日、米ニューヨーク、金成隆一撮影
米ニューヨークのグリニッチビレッジで4日、トランプ大統領に抗議する集会があった。気温2、3度と冷え込む中、数千人規模の市民が集まり、中東・アフリカ7カ国の出身者を狙い撃ちにした入管政策などに抗議の声を上げた。
開催場所は、1969年に警察が家宅捜査に入り、居合わせた性的少数者(LGBT)と衝突したゲイバー「ストーンウォール・イン」近くの広場で、LGBTの参加者が多かった。広がっているのは、オバマ前政権下で尊重されてきたLGBTの権利擁護の動きが、伝統的な価値観を掲げるキリスト教保守派に支持されたトランプ政権で後退するのではないか、という懸念だ。
オバマ前大統領は2014年、連邦政府のために働く性的少数者を差別から守る大統領令を出した。トランプ氏もこの大統領令を認める立場を示したが、当事者らの不信感は消えていない。性別適合手術を受けたという美容業ジーナ・ラブさんは「LGBT向けの医療助成などの削減が心配。トランプ政権では何が起こるかわからない」と話した。
「米国は(トランプ政権が発足した)16日前まで偉大な国だった」という看板を掲げていたシスター・シュロリさんは「入国差別を受けるイスラム諸国の出身者だけでなく、性的少数者や黒人、ヒスパニック、女性、身体障害者など、誰もが暮らしにくくなる恐れがある。みんなが一緒に抗議活動することが重要だ」と話した。(ニューヨーク=金成隆一)