金正男氏の家族が住んでいたとされるマンション=16日、マカオ、益満雄一郎撮影
マレーシアで殺害された北朝鮮の故金正日(キムジョンイル)総書記の長男、金正男(キムジョンナム)氏は近年、中国南部のマカオで多くの時間を過ごしていた。友人に「弟が殺そうとしている」と漏らしていた一方、自身のものとみられるフェイスブックでマカオ在住と公表するなど公の目に触れる行動もとっていた。
特集:金正男氏殺害
地元テレビによると、マカオのカジノ関係者の友人の男性は、「殺される」という話を正男氏から2、3回聞いた。その一方、外出時に周辺にいたボディーガードが最近はいなくなり、単独行動が目立っていた。
正男氏は1年の約3分の1をマカオで過ごしていたという。カジノで目撃されたことがある一方、欧州で不動産や古美術品に投資していたほか、ワイン販売にも進出。フランスのワイナリーの視察などで欧州やマレーシアなどに出かけていたという。
フェイスブックは偽名の「キム・チョル」名義で作成されていた。上海の超高層ビル街やマカオのカジノなどを背景に撮影した、正男氏とみられる男性の写真が掲載されていた。だが、現在は閲覧できない状態となっている。
香港メディアによると、正男氏の家族が住むとされるマンションはマカオに二つある。登記簿によると、二つとも朝鮮半島出身者の可能性がある名前の人物の名義になっているが、正男氏や家族とされる女性とは一致しない。いずれも民間人が住む建物で、インターホンを押しても反応はなかった。正男氏の殺害後、警察官がマンション付近に立って警備を強化している。
また、正男氏は日本料理が好きで、目撃者は朝日新聞に「女性を連れて日本料理店に出入りする姿を何度か見た」と話した。(マカオ=益満雄一郎)