「棋士とのつどい」でファンと交流する羽生善治三冠。熊本市の内藤鈴さん(7)は「がんばってね」と声をかけられ、「羽生さんみたいに強くなりたい」と話した=14日午後7時16分、熊本市、金子淳撮影
熊本市で14日開幕した第10回朝日杯将棋オープン戦(朝日新聞社主催)本戦で、八代弥(わたる)五段(22)が準決勝進出を一番乗りで決めた。昨年の熊本地震の「復興祈念対局」。将棋ファンら約250人が来場し、間近で観戦できる公開対局と大盤解説会を楽しんだ。
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午前の1回戦は、行方尚史八段(43)が佐藤天彦名人(28)に、八代五段が戸辺誠七段(30)にそれぞれ勝利。午後の2回戦では、八代五段が行方八段との終盤の競り合いを制した。対局は通常、非公開だが、今回はそばで勝負を見ることができる。
会場は、地震の後に避難所として使われた市総合体育館(同市中央区)。一時、ここに避難していた同市中央区の男性(67)は「将棋が好きで、人気棋士の戦いをぜひ間近で見たい」と訪れた。地震で男性の自宅マンションが一部損壊した。今も熊本では余震が続き、男性の親類宅はまだ屋根にブルーシートがかかったままだ。トップ棋士同士の真剣勝負を目の当たりにし、「こちらが励まされたような気分になった。羽生善治三冠のファンなので15日の対局も楽しみ」と語った。
14日夜は、出場棋士が参加する「棋士とのつどい」が同市西区のホテルニューオータニ熊本で開かれ、ファンら120人と交流を深めた。来賓の蒲島郁夫・熊本県知事がくまモンとともに出席。15日の対局を控えた羽生三冠(46)は「対局の臨場感を味わって、明日への活力にしてもらえれば」とあいさつした。
15日の対局も4人が4強入りをかけて1、2回戦を戦う。朝日新聞デジタル(http://www.asahi.com/)で中継される。(村瀬信也、安斎耕一)