2020年東京五輪・パラリンピック招致をめぐる資金の流れ
2020年東京五輪・パラリンピックの招致をめぐる資金提供問題で、東京地検特捜部が日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長(69)から任意で事情聴取していたことが分かった。仏検察当局の要請に基づいたもので、竹田会長は、当時理事長を務めていた招致委員会が契約先に払った約2億3千万円について、違法性を否定したとみられる。特捜部は聴取内容を仏検察当局に伝える。
竹田会長は8日に都内で取材に応じ、「先週、フランスの捜査に任意で協力するということで事実関係を話した。JOCの調査も終わって報告書も出ているし、国会や記者会見で話した通り。新しい質問は一つもなく、それ以上のことは一つもない」と話した。
招致委は13年の招致決定前後の2度にわたり、コンサルタント契約を結んでいたシンガポールの「ブラック・タイディングズ(BT)」社に計約2億3千万円を送金した。仏検察は、その資金がBT社代表を通じて、当時、国際オリンピック委員会(IOC)委員で一定の影響力があったラミン・ディアク国際陸上競技連盟前会長と、その息子のパパマッサタ・ディアク氏側に流れ、招致のための集票目的で使われたとみて捜査。昨年5月に「開催地の決定にあたって、汚職や資金洗浄がなかったか調べている」と発表していた。
日本の刑法では民間人が金銭のやりとりをしても汚職の対象とならないが、仏刑法では対象となる。
この問題では昨年9月、JOCの調査チームが報告書を発表。海外の主な関係者への聞き取りはできず資金の流れは解明できなかったが、招致委が約2億3千万円を払った支出や契約については日本の法律や仏刑法、IOC倫理規定のいずれにも違反しないと結論づけた。竹田会長はこれまで「どのように金を使ったかまではわからない」などと話していた。