米軍による研究助成の流れ
日本の大学などの研究者に、米軍から少なくとも9年間で8億円を超える研究助成が行われていた。対象は基礎研究に限られ、成果を公開してよい「平和の顔」をした研究費だが、その目的は何か。世界での軍事的優位を維持したい米軍の戦略に照らすと、軍事応用が透けて見える。
米軍から研究費、8.8億円 大学などに9年で135件
人工知能学会長も務めた京都大の西田豊明教授は約3年前、1通のメールを受け取った。送り主は米空軍アジア宇宙航空研究開発事務所(AOARD、東京・六本木)。米空軍の研究助成の拠点だ。助成への応募を誘う内容だった。
助成対象は、ロボットと人間が意思疎通を図る技術の研究。「研究内容が縛られないか」と心配したが、研究対象は自由で成果も公開することが前提と聞き、「軍事研究には当たらないと判断した」と話す。
所属する大学の研究科の承諾をもらい、2014年5月から16年5月までに計約1千万円を受け取った。成果は国際会議で発表し、論文を執筆。報告書を空軍に提出した。
応募理由の一つは資金不足。約20人が所属する研究室の維持に、年約2千万円かかる。大学から入る運営費交付金約400万円は自由に使えるが、秘書給与、貸しコピー機代などで消えてしまう。博士研究員を雇う資金(1人500万~600万円)を含め、学外からの調達が欠かせない。
もう一つの理由は米軍側から「…