「鉄道『大百科』の時代」
ブルートレイン、エル特急、SL――。昭和50年代の少年たちを「テツ」の道に導いた鉄道「大百科」シリーズの著者で、鉄道写真の第一人者・南正時(まさとき、70)が、当時を振り返る「鉄道『大百科』の時代」(実業之日本社、税込み1944円)を出した。空前の鉄道ブームを牽引(けんいん)した南。当時を「若さに任せて貪欲(どんよく)に撮りまくっていた」と語る。
特集:テツの広場
文庫サイズのぶ厚い子ども向け百科は、「ケイブンシャの大百科」シリーズの勁文社と、ライバルの実業之日本社を中心に、怪獣やプロ野球などを題材として数多く出版された。南は1975(昭和50)年の「機関車・電車大百科」(勁文社)を皮切りに、両社から20冊以上出し、鉄道を「大百科」の看板にした。
「子ども向けの絵本か大人向けの鉄道雑誌しかない時代に、写真と情報を詰め込んだ『大百科』を出した。マニアにはちゃっちい本と言われもしたがすごく売れた。僕がここにこうしていられるのは、皆さん鉄道少年のおかげ」
2月24日に都内の書店で開いた「鉄道『大百科』の時代」発売記念トークショーで、南は会場を埋めた元「鉄道少年」たちにこう語りかけた。
アニメスタジオで働きながら趣味で蒸気機関車(SL)を撮っていた南が、20代後半にプロの鉄道写真家になったきっかけは「ルパン三世」。原作を出していた双葉社の編集者が取材でスタジオを訪問。案内役の南の写真を見て、連載を持ちかけた。
「載ったのは週刊漫画アクショ…