韓国の韓民求(ハンミング)国防相は20日、国会国防委員会の非公式の懇談会で、金正男(キムジョンナム)氏殺害に使用された薬物について、猛毒の化学剤「VX」など5種類のいずれかの可能性が高いと報告した。同委所属議員が明らかにした。VXのほか、青酸カリ、テトロドトキシン、リシン、ネオスチグミンの5種類のいずれかという。韓国政府内では北朝鮮の暗殺・テロ工作機関、偵察総局による犯行との見方が強まっている。
特集:金正男氏殺害
ネオスチグミンは1996年に殺害された韓国のウラジオストク領事の体内から検出された。神経をまひさせて筋肉が動かなくなる猛毒の神経剤。87年の大韓航空機爆破事件では、金賢姫(キムヒョンヒ)元死刑囚が青酸系の毒薬を服用して自殺を図った。
韓氏は懇談会で、北朝鮮の犯行の可能性が極めて高いと説明。動機について、北朝鮮出身の高位エリートらに警告する意味や、金正恩政権を失脚させる国際社会の動きを遮断する目的などがあったとした。同時に北朝鮮内部で正恩氏の恐怖政治に対する反発が広がる可能性があると指摘した。