衆院予算委公聴会に公述人として出席した、日本国際ボランティアセンターの今井高樹氏(右から2人目)=21日午前9時、岩下毅撮影 国内各地で戦闘が続く南スーダンについて、現地で活動してきたNGO日本国際ボランティアセンターの今井高樹氏(54)が21日、衆院予算委員会の中央公聴会に招かれて語った=民進党推薦。自衛隊がPKO(国連平和維持活動)で派遣されている首都ジュバの現状は。日本が果たすべき役割は――。 【憎悪の連鎖、情勢ますます悪化】 南スーダン独立前の2007年から帰還難民や国内避難民を支援し、昨年7月の大規模戦闘後は2度、首都ジュバを訪れました。国内の避難民と国外に逃れた難民で340万人。国民の3人に1人が家を追われ、情勢はますます悪化しています。 南スーダンの紛争はキール大統領の出身のディンカ族とマシャル前副大統領との戦いで主に北の方で行われていましたが、昨年後半から首都のある南の方に拡散している。ジュバから80キロ離れた村から避難してきた人は「ディンカ族が村に来て虐殺した」と言っていた。やられた地域も武装して報復する。憎悪の連鎖が広がっています。 【統一なき政府軍、実態は利権争い】 南スーダンでは、それぞれの部族を中心としたグループが政治化し、武器を持ち、日本の戦国時代のような状況です。政府軍についても、統一した指揮系統があるとは言い切れない。マシャル派も南スーダン国内に一定の支配領域があり、知事の任命などもやっています。 今起きていることは、民族紛争という形をとった政治闘争、利権争いだと思います。南スーダンには石油があり、独立後は復興援助資金がたくさん入ってきた。そういう利権争いの中で政治家を中心とした軍閥のボスが、敵対感情をあおっています。 【不安定化する首都、自分で安全守るNGO】 稲田朋美防衛相はジュバは比較的落ち着いていると繰り返すが、本当にそうか。表面的には普通の市民生活があるが、非常におびえています。新しい戦闘が起き、自分たちが殺されるのではないか。虐殺にしろ暴動にしろ、何が起きるかわからないと。 経済は破綻しています。通貨は暴落し、物価は1年前の5、6倍。ガソリンがなく給水車は走れず、非常に水の値段が上がった。避難民キャンプで草を取って食べることもあります。 自衛隊が活動しているジュバはこのように不安定で、武力衝突が起きても不思議でない。自衛隊が巻き込まれて一発でも発砲し、戦闘当事者になってしまうと、日本への大きな敵対感情を引き起こします。 そうなれば、NGOは非常に活動がしづらくなる。「ではNGOはどうやって自分の安全を守るのか」とよく聞かれますが、各国からのNGOが情報交換し、住民にも情報をもらって危険を回避しています。 【「戦闘」めぐる国会論戦は「言葉遊び」】 この予算委員会では、ジュバで昨年7月に起きたことが「戦闘」か「衝突」かという議論が繰り返されていますが、言葉遊びのようなものではないか。現地の人は家族を亡くし、家を追われ、避難生活を続けている。衝突と呼ぼうが戦闘と呼ぼうが、起きたことは変わりません。 とにかく殺し合いを止めてほしい、普通の生活を取り戻したい、国際社会に何とかしてほしいとみんな言います。そのために日本ができることは、自衛隊の派遣ではないと思います。 自衛隊の方は非常に困難な状況で活動され、敬意を表します。しかし現状では自衛隊に国づくり支援はできず、むしろ戦闘に巻き込まれるリスクが高まっている。それよりも憲法9条を持つ国として、武力によらない解決を紛争当事者に求めていくべきです。 日本は南スーダン政府や周辺国と良好な外交関係を持っている。その立場も生かして和解の手助けをするのが、日本のあるべき姿ではないかと思います。(構成・藤田直央) |
南スーダン支援NGOの今井氏、「衝突でも戦闘でも…」
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