国連安全保障理事会は23日、紛争と深刻な食料不足で人道危機に陥っている南スーダンをめぐる閣僚級会合を開き、グテーレス事務総長は同国のキール政権が問題を解決しようとせず、支援を妨害していると厳しく批判した。安保理は各勢力に即時停戦を求めるなどとする議長声明を出した。
2011年にスーダンから分離独立した南スーダンでは、キール大統領派とマシャル前副大統領派の武装勢力が対立。各民族を基盤とした反政府武装勢力もあり、各地で衝突が続いている。グテーレス氏は「市民が強姦(ごうかん)や少年兵への取り立てなども含めた恐ろしい攻撃にさらされている」と強い懸念を示した。約160万人が周辺国に逃れ、約190万人が国内で避難しているという。
グテーレス氏によると、南スーダン政府は具体的な対策を示せていないうえ、危機の存在も認めたがらず、人道支援物資の輸送を妨害しているという。グテーレス氏は「南スーダンの指導者は自国民の福祉のためにもっと取り組まなければならない」と訴えた。
日本政府は南スーダンの平和維持活動(PKO)に陸上自衛隊の施設部隊を派遣しているが、「国造りのプロセスは新たな段階に入りつつある」などとして5月末の撤退を決めた。(ニューヨーク=鵜飼啓)