鹿児島県の三反園訓(みたぞのさとし)知事は22日の県議会で、九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)について、「現状では強い対応を取る必要はない」と述べ、昨年8~9月に2度にわたって九電に求めた原発の即時停止を改めて要請する考えがないことを明言した。
三反園知事は昨年7月の初当選後、熊本地震後の県民不安の高まりから「安全が確認できない原発は動かせない」と表明。直ちに停止し安全性を再検証するよう九電に要請した。拒否されると事実上断念。定期検査で停止した川内1号機は九電の計画通り昨年12月に運転再開したが、県が設置する第三者組織「原子力安全・避難計画等防災専門委員会」の判断によっては「強い対応を取る」と述べていた。
専門委は今月16日、1号機について、九電が定検と並行して実施した「特別点検」の結果も踏まえ、「熊本地震の影響はなかった」とする意見書を提出。三反園知事は22日、県議会代表質問で「専門委から問題があるとの意見は出されなかった。従って現状では強い対応を取る必要はないと判断している」と答弁した。
三反園知事は即時停止要請を拒まれると、停止にこだわらず、九電が代わりに実施すると約束した「特別点検」を重視する姿勢に転換。「私に稼働させる、させないの権限はない」などと述べ、1号機の運転再開を事実上容認するとともに、安全性の判断を専門委に委ねていた。(中島健)