中国が主導する国際金融機関、アジアインフラ投資銀行(AIIB)は23日、新たに13カ国・地域を新規加盟させる手続きを終えたと発表した。創設メンバーの57カ国と合わせると加盟は70カ国・地域となり、日本などが主導するアジア開発銀行(ADB)の67カ国・地域を上回った。
新たに加盟するのは、アジア・太平洋域内の香港やアフガニスタン、フィジーなど5カ国・地域と、域外からカナダやベルギー、アイルランドなどの8カ国。それぞれの国内手続きを経て正式に加盟する。カナダの加盟で、主要7カ国(G7)は日米を除いた全ての国が加わることになる。
AIIB発足後、新たにメンバーを加えるのは初めて。新メンバーの発言権につながる出資比率は、「既存の出資枠の余りを割り当てる」としており、中国が事実上の「拒否権」を握る現行の比率に大きな変化はないとみられる。
AIIBは中国の習近平(シーチンピン)国家主席が提唱し、アジアで不足しているインフラ建設資金を融資する目的で2015年に設立された。先進国主導の世界銀行や国際通貨基金(IMF)、ADBなど既存の国際金融秩序に一石を投じる存在として注目を集めた。昨年末までにアジア・中東でのエネルギー開発や交通インフラ整備など9件の融資を決めており、他の国際機関に頼らず自力で融資案件を開拓する例も出てきている。中国を資金源とする建設プロジェクトに参加する期待もあり、加盟国が増えている。(北京=斎藤徳彦)