小笠原諸島の海で見つかった新種とみられる海藻(北山太樹・国立科学博物館研究主幹提供)
タンポポのような独特の姿をした海藻が小笠原諸島の海で見つかった。国立科学博物館と神戸大の研究チームが調べたところ褐藻類の一種で新種とみられる。3月23日から高知市で始まる日本藻類学会で発表する。
昨年7月に小笠原諸島・弟島沖の深さ56~63メートルの海底から採取された。船から下ろした調査用の小型底引き網に入っていたもので、高さは3~5センチ前後。オレンジ色がかった褐色で、上部にはふさふさとした「頂毛(ちょうもう)」がある。この毛が逆立ったような形状のため表面積が大きく、太陽光が少ない深場でも効率的に光合成をして生育できるらしい。
横から見ると、タンポポの花と茎のように見えるため、「ウミタンポポ」と名付けた。分類学上は、コンブやワカメを含む褐藻類のうち、ケヤリモ目というグループに属するとみられる。遺伝子解析では、これまでに知られている海藻と一致しなかった。
研究チームの北山太樹・国立科学博物館研究主幹(海藻学)は「水深が50メートルを超す海底はダイバーの目が届きにくい。こうした場所でさらに調査を進めれば、まだまだ未知の海藻が見つかりそうだ」と話している。(山本智之)