暴力団組長の虚偽診断書の作成容疑事件で、家宅捜索された京都府立医科大付属病院の男性担当医が、京都府警の任意聴取に対し、吉村了勇(のりお)院長の指示で大阪高検へ提出する意見書の内容を書き換えたと説明していることが、捜査関係者への取材でわかった。ただ、担当医は、院長との判断の違いを認めつつ意見書の虚偽性については否定しており、府警は慎重に捜査を進めている。
捜査関係者によると、担当医は、2月14日の家宅捜索後の事情聴取に対し、一昨年夏に大阪高検から組長の健康状態について照会を受けた際に「自分は刑務所への収容は可能と判断していた」と説明。そのうえで、「吉村院長から拘禁に耐えられないという意見書を書くよう指示された」と話しているという。
ただ、担当医は、吉村院長の指示は自分の判断とは異なっていたことを認めたものの、医師としての診断や裁量の範囲内であり、意見書の虚偽性については否定しているという。担当医は同23日に公表したコメントでも「意見書の内容には一切虚偽はない」などと主張していた。
一方で、吉村院長も家宅捜索後、府警から任意の事情聴取を受けているが、虚偽内容の意見書を作成したことを否定しているという。院長は2月16日の記者会見で「医師の立場から公正に適切に作成したもので、7通作成した意見書などは虚偽の内容では一切ない」と述べていた。