学校法人「森友学園」(大阪市)が新設予定の小学校の建築費をめぐり、国と府に対して金額が違う工事請負契約書が提出されていた問題で、学園側が日付が同じで金額だけが異なる「工事請負契約書」をもう1枚作り、予定地近くの大阪(伊丹)空港を運営する「関西エアポート」に助成金を申請していたことが分かった。建築費用の額が「3通り」あることになり、府教育庁は学園側に確認を求める方針。
特集:森友学園問題
府教育庁などによると、学園側は府教育庁に建築費を7億5600万円とする工事請負契約書を提出。2月22日に開かれた府の私学審議会に提出した資料にも同様に記載していた。しかし、補助金を申請した国土交通省には、23億8464万円とする契約書を提出していたという。
一方、学園側は2016年6月、小学校の空調設備の設置に関する助成として、関西エアポートに助成金を申請し、事業費として約15億円とする工事請負契約書を提出していた。助成は航空機の騒音障害の防止に関する法に基づくもので、学園側は約1億5千万円の補助を求めていたが、入金はまだされていないという。契約書の日付は「平成27(2015)年12月3日」と書かれ、学園側が府や国交省に出した契約書の日付と同じだった。
国交省は学園側から小学校建設の事業費を21億8千万円として補助金の申請を受けて、契約書を受け取り、15、16両年度で計6194万円の補助金交付を決めた。
府関係者は「3通りも契約書があるとなれば、どれが本当の数字か分からない。収支想定にも影響してくる。認可できるはずがない」と話した。
学園側は8日、小学校のホームページで「補助金を詐取しようとしたとの疑いは全くの誤解。工事費の上振れ分を見込んで申請した」などとする文書を掲載した。