香港行政長官選、支持率の推移
香港政府のトップを決める行政長官選挙が26日、投開票される。選挙委員による間接投票で行われる選挙は、中国の「本命」とされる前政務長官の林鄭月娥(キャリー・ラム)氏(59)が優勢だが、世論調査の支持率はライバル候補の約半分まで低下。中国と距離がある議員は「民意なき選挙だ」と批判を強める。
香港長官選、募る不信 「本命」候補、支持低迷でも優勢
香港大学の世論調査によると、25日の支持率は前財政官の曽俊華(ジョン・ツァン)氏(65)が56%で、林鄭氏は29%。今月6日と比べ、曽氏は10ポイント上がったが、逆に林鄭氏は5ポイント下げ、差が拡大した。曽氏は街頭で市民と一緒に写真撮影をして、親しみやすさをアピールした一方、林鄭氏は任期途中で辞める可能性を示唆した「失言」もあって支持率を下げた。
親中派が多い選挙委員(定員1200人)の投票で選ばれるため、支持率トップでも親中派の支持がなければ当選できない。親中派幹部の分析では、林鄭氏は700票超を得るが、曽氏は民主派を中心に約400票にとどまるという。
立法会(議会)での宣誓を巡り、香港政府から議員資格取り消し審査を起こされた梁国雄議員(60)は、曽氏も政府高官だったことから「実質的にはどちらの候補も親中派だ」と切り捨てる。2014年のデモ「雨傘運動」以降、民主主義を語る集いを続ける劉小麗議員(41)は長官選の投票権を持つが、白票を投じる予定。「香港には民主主義を求める別の声があることを伝えたい」と話す。(香港=石田耕一郎、益満雄一郎)