ローマで25日、記念撮影にのぞむ欧州連合(EU)の首脳ら=ロイター
欧州連合(EU)の原点となったローマ条約の制定60周年を祝う式典が25日、ローマで開かれた。EU離脱を決めた英国を除く27加盟国の首脳が出席。共同宣言には、国ごとに統合の速度の多様化を容認する文言が盛り込まれた。結束を強化できるのか、あるいは崩壊の一歩か。統合深化と拡大を続けてきたEUは岐路に立つ。
ローマ法王、欧州の排外主義に警鐘「連帯が解毒剤に」
「私たちの連合は、自由や尊厳、民主主義、独立が、夢ではなく日々の現実であることを保障している」
記念式典で、EUの大統領に相当するトゥスク首脳会議常任議長(ポーランド出身)は、59年の自らの半生と欧州統合の歩みを重ね、その意義を力説した。
各国首脳とEU首脳が署名した共同宣言は、「我々は、より強力な結束と連帯によって、EUをより強く、弾力性のあるものにする」と誓った。共にあることが「我々の共通の利益や価値を守る最善の選択」であるとし、「我々は不可分である」と結束の重要性を強調した。
一方で、「我々は可能な時、必要な場合はいつでも、異なる速度と強さで共に行動する。また、後から加わることを希望する国に門戸を開く」として、統合の「速度の多様化」を容認する文言を盛り込んだ。
EUは現在でも共通通貨ユーロの使用や、人の自由を定めたシェンゲン協定への参加などで、各国の関与の度合いに違いがある。
ただ事前協議で、ポーランドやハンガリーなどは共同宣言に統合の「速度の多様化」を盛り込むことに抵抗した。経済発展が遅れている国々は統合から置いて行かれかねないからだ。また英国のEU離脱後、EU予算は約1割減るため、統合に積極的に加わらない国の補助金は削減される恐れもある。
EU側は懸念の払拭(ふっしょ…