東京電力ホールディングスと中部電力は28日、両社の火力発電事業を2019年度をめどに全面統合することで基本合意した。国内の火力発電能力の4割を握る圧倒的な規模になる。東電はこの統合で企業価値を高め、膨らむ福島第一原発の事故対策費を賄う足がかりにしたい考えだ。
東電の広瀬直己社長と中部電力の勝野哲社長が同日午後、東京都内で会見して詳細を正式に発表する。
両社は、15年4月に折半出資の会社「JERA」を設立。すでに燃料調達や海外事業を統合しており、残る国内の発電所もJERAに移すことにした。今後詳細を詰めて正式合意し、公正取引委員会の審査を経て、19年度をめどにした全面統合をめざす。
この統合は東電と国が策定する新再建計画の柱だ。東電と国はこの統合などで東電の企業価値を高め、東電株の売却益を4兆円とされる除染費などにあてる。一方、中部電は東京湾岸にある東電の火力発電所を使うことができるようになり、首都圏での電力販売を強化できる。当初はJERAの利益が福島原発の事故対策費に回されるとみて統合に慎重だったが、対策費は東電本体の稼ぎで賄うことを確認し、折り合った。(米谷陽一)