相続情報を証明する一覧図のイメージ
法務省は28日、相続する権利がある人(法定相続人)の「一覧図」を公的な証明書として発行する制度を5月下旬から始めると発表した。不動産や預金を相続する際には、その都度全員分の戸籍などをそろえる必要があったが、新制度では、いったん必要な資料を集めて一覧図の証明書を作れば、以後はそれをもとに相続手続きなどを進められるようになる。
新制度では、家族が亡くなり相続の手続きが必要となった時に、法定相続人の一人が全員分の戸籍などの書類を集め、名前や続き柄を一覧図にして法務局に提出する。法務局は提出された書類をもとに一覧図の内容を確認。正しければ一覧図の原本を法務局で保管し、写しを無料で発行する。写しは公的な証明書として、法務局での不動産の相続や、金融機関での預金などの相続の際に利用できる。
同省が昨年7月に公表した案では、一覧図に本籍や法定相続分も掲載する予定だったが、本籍は個人情報保護の観点から、法定相続分は実際の取り分と異なる場合があることなどから、それぞれ掲載しないことにしたという。
相続をめぐっては、資産価値の低い土地などの場合、書類を集める手続きの煩雑さなどから、名義が書きかえられずに放置され、土地の所有者が分からなくなるケースがあった。法務省は「新制度で相続の登記を促したい」としている。(金子元希)