ある家庭のケース
国税庁は15日、2015年1月に相続税が増税されてから初めて、申告状況を公表した。15年中に亡くなった人のうち、相続税の課税対象となる遺産を残した人の割合は前年から3・6ポイント増え、8・0%に拡大した。現在の課税方式になった1958年以降で最も高い割合となった。
相続課税が急増 昨年の増税後、対象者は過去最高8%
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「8%になったのは意外。想定よりも金融資産が多かったのではないか」。税理士法人レガシィ(東京)の代表社員税理士の天野隆さんはそう受け止める。
相続税の課税対象となった遺産を残した人の割合が上昇したのは、基礎控除額が引き下げられただけでなく、株価や地価の上昇も影響したとみられる。ただ、大きく押し上げたのは遺産が1億円以下の人たちで、多くはこれまで課税対象にならなかったケースだ。
同法人では、モデルケースとして、亡くなった人の遺産が①戸建て住宅(約50坪)②預金約2千万円で、これを子ども2人が相続する、という家族を想定。増税前と後で比較してみると、東京都八王子市やさいたま市大宮区、千葉市中央区、神奈川県横須賀市などの駅に近い地域に住む人たちが、新たに課税対象になったとみられるという。
同法人の調べでは、これらの地…