孫を養子にした男性の遺産相続をめぐり、娘らが養子縁組は無効だとして確認を求めた訴訟で、最高裁第三小法廷(木内道祥裁判長)は、当事者双方の意見を聞く弁論を12月20日に開くことを決めた。相続税対策の養子縁組が有効か、最高裁が初めて判断を示す。
弁論は二審の結論を変える際開かれることから、「相続税対策が目的の養子縁組は無効」とした二審・東京高裁判決が見直される公算が大きい。
一、二審判決によると、男性は2012年、長男の息子と養子縁組をしたが、長男との関係が悪化。男性は「長男の勝手な判断だった」として縁組を無効とする離縁届を役所に提出した。孫側が離縁は無効だとして、今回とは別の訴訟を提起。男性は途中で死亡したが、離縁は無効とする判決が確定した。男性の娘らが改めて「養子縁組は男性の意思ではなかった」として今回の訴訟を起こした。
一審・東京家裁は「男性には養子縁組の意思があった」として請求を棄却。二審はこの点を認めながら、男性が養子縁組で相続税の非課税枠が増えるとの説明を受けていたことなどから、「親子関係を真につくる意思はなかった」として縁組も無効と判断し、娘らの訴えを認めた。(千葉雄高)