滋賀学園―福岡大大濠 五回裏福岡大大濠1死一塁、古賀が左中間に2点本塁打を放つ=角野貴之撮影
(28日、選抜高校野球 福岡大大濠5―3滋賀学園)
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「入れ!」。打った福岡大大濠の古賀は念じた。ボールは低い弾道で左中間スタンドに飛び込んだ。五回、同点にされた直後に延長引き分け再試合で疲れが見えるエース三浦を助ける決勝2点本塁打だった。
古賀は新チームになって遊撃手から捕手になった強打者。「三浦が苦しそうだったので何とかしたかった」。前の打者が四球で出塁。「ストライクを取りに来る」と初球を狙っていた。高校通算46本目の本塁打は「一番うれしい1本」になった。
リードでも三浦を支えた。本来、140キロ台の直球を投げる右腕だが、前の試合は15回で196球を投げていた。滋賀学園が打順を変えてきたことで、「上位で点を取りに来ているのがわかった」と力の入れどころを絞った。気をつけたのは高さよりも内外角のコースにはっきりと投げさせること。三浦も古賀が構えた通りに投げる抜群の制球力で応えた。失点しても1点ずつに食い止め、相手を勢いづかせなかった。
古賀が捕手になったばかりの練習試合で三浦が1試合6本塁打を浴びたことがある。「当時は三浦にリードしてもらっていた」と古賀。だが、いまは三浦がサインに首を振ることはほとんどなくなったという。「打てる捕手になって、三浦を日本一の投手にしたい」。古賀の成長で安定感が増したバッテリーが、これまで選抜で勝てていなかった福岡大大濠を8強まで押し上げた。(坂名信行)
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○稲本(大) 一回に2点二塁打。前の試合は6打数無安打。「とりかえすチャンス。絶対に打ってやると思った。三浦さんを助けられてほっとした」
○八木監督(大) 準々決勝の三浦の登板について、「彼の体の状態を見て、宿舎でゆっくり話をしたい。ただ、彼なしでうちのチームは語れない」。