四回表に2失点し、ベンチに引き揚げる菅野=諫山卓弥撮影
(14日、WBC2次リーグE組 日本8―5キューバ)
特集:WBC2017
浮いた。狙いより、わずかに高く入ったスライダーは、ライナーではじき返された。マウンド上の菅野は、祈るような表情で打球の行方を追う。だが、そのまま左翼席へ。一発で流れを変えられた。
山田の先頭打者本塁打で1点を先行した直後の二回。先頭の4番デスパイネに遊撃内野安打を許すと、次打者・グラシアルへの3球目が甘くなる。外角のスライダーに踏み込まれ、フルスイングをさせてしまった。左翼席最前列へ飛び込む逆転2ランとなった。
勝てば、準決勝進出に大きく前進するキューバ戦。大一番を前にエースの菅野は「気持ちが高ぶっている」と言った。4時間46分の激闘を制した12日のオランダ戦はベンチで観戦し、「勇気をもらった。このチームの勢いは本当にすごい。一発を浴びても粘り強く投げたい」。
でも、切り替えられなかった。三回に、筒香の適時打で追いついた直後の四回。3安打を浴びるなどして、2死満塁にされると9番打者への初球が、また浮いた。肩口のカーブを左前へ運ばれ2点を勝ち越された。150キロ台の直球を連発するなど球威はあっただけに、ストライクを取りにいった変化球を狙われたのは悔やまれる。
四回を終えて球数は74球に達し、救援陣にマウンドを託した。「良い球と悪い球の差がはっきりしてしまった」。日本のエースが、まさかの乱調だった。(山口裕起)